2014.04.30
「第11回 THE ONE‐DAY SEMINAR 2012」開催


 6月23日(土)、本校高 校生と保護者、教職員を対象とした「第11回 THE ONE‐DAY SEMINAR 2012」を行いました。今回のセミナーは、全国各地から著名な 15大学の先生方にお越しいただき、世界経済の潮流を踏まえ「日本の最先端と最前線を知り、グローバリゼーションを考える」をテーマに開催しました。 宇宙工学、政治学、生命科学、心理学など、さまざまな領域における大学の最先端の知に触れ、将来への展望を探る貴重な機会となりました。多彩な講義を通し て、生徒達は社会で起きている問題に注目し、解決策を模索することができました。

大学名 学部・学科名 講師名 テーマ
①筑波大学大学院 人文社会科学研究科 松岡 完 教授 東京ディズニーランドの政治学 -アメリカの世紀を支える力-
②東京大学大学院 新領域創成科学研究科 小紫 公也  教授 未来のロケット推進
③東京外国語大学大学院 総合国際学研究院 岡田 昭人  准教授 異文化コミュニケーション -自分探しの旅へのパスポート
④大阪大学大学院 理学研究科 下田 正   教授 放射線とはどのようなものだろう?体にどういう影響を及ぼすのだろう?
⑤高知大学 複合領域科学部門 ウラノバ・ダナ特任助教 微生物学入門‐自然界と人間生活での微生物の役割 ※講義は英語(通訳あり) 
⑥高知県立大学 文化学部 ヨース・ジョエル准教授 世界に発信する日本文化
⑦高知工科大学 マネジメント学部 桂 信太郎 准教授 地域活性化のためのビジネス方法論
⑧青山学院大学 文学部比較芸術学科 佐久間 康夫 教授 ミュージカルを五感で楽しもう!
⑨慶應義塾大学 総合政策学部 森 さち子  准教授 対人コミュニケーションと心理学
⑩中央大学 理工学部 白井 宏    教授 ケータイの電波はどのように伝わるの?
⑪法政大学 デザイン工学部 西岡 靖之   教授 ものづくりと情報とマネジメントの関係 ~デザインする力とはなにか?~
⑫明治大学 商学部 小林 尚朗 教授 グローバル化時代の日本の貿易について‐岐路に立つ日本経済とTPP狂想曲‐
⑬早稲田大学 人間科学部 辻内 琢也 准教授 震災・原発事故による心理社会的ストレス‐人間科学の立場から考える‐
⑭関西学院大学 文学部 横内 一雄   教授 シャーロック・ホームズ物語の政治学
⑮立命館大学 生命科学部 伊藤  將弘  教授 ゲノム情報から生命システムと環境応答

① 筑波大学大学院 人文社会科学研究科  松岡 完教授  「東京ディズニーランドの政治学‐アメリカの世紀を支える力‐」

 アメリカの軍事費は世界の軍事費の42%を占め、経済力は世界の富の59%を占めている。圧倒的なハードパワーであるが、それだけでは世界を支配するこ とはできない。アメリカ国家の根幹をなす自由、民主主義を世界に輸出することで、アメリカの世界一極支配が可能となる。その手段としてディズニーが役立っ ている。 ディズニーキャラクターは、いまや生活のあらゆる場面に登場する。子どもだけでなく大人にも非常に大きな影響力を持っている。『ディズニー』の浸透は、戦 後日本における親米の文化的象徴である。これを、アメリカによる文化侵略と批判する声もあるが、私たちはディズニーが担ってきた社会的役割を理解すること で、日本とアメリカとの関係性をより深く考察することができる。 先生が、アメリカ海兵隊の歌を歌ったり、ディズニーのCMを流してくださったりして、バラエティに富んだ楽しい講義であった。(田村 和美)

<生徒の感想>
 アメリカがどれだけ世界に影響力を持つ国であるのかが、よく分かった。アメリカで有名になったものは、やはり世界中で有名になる。それは、アメリカとい う国の世界への影響力の大きさを示している。アメリカのロックに影響を受けたビートルズは、イギリスからアメリカに進出し、British  Invasionを巻き起こした。 また、一方アメリカという大国が、他国から文化的影響を受ける様子は驚きでもあった。他国からの文化侵略とも受け取れる現象は、こうした大国にさえ起こり 得ることを学んだ。私はアメリカに強い憧れを持つ。ハリウッドスターの華やかな姿や、流行の発信地ニューヨークなど、世界の中心地としての印象があるから だ。 しかし、今回の講義を通して、アメリカ文化の一面に強い憧れを抱くだけでなく、その裏側にも目を向け、アメリカという国を受け止めていかなければならない と感じた。

②東京大学大学院 新領域創成科学研究科   小紫 公也教授   「未来のロケット推進」

 私たちは宇宙旅行ができるようになるのだろうか? 教授も幼き日、未来小説や映画に触発されてこの道に進むことになった。だが、夢見たようなそれはまだ可能になっていない。原因は宇宙輸送技術の停滞にある。 でも将来的には、レーザー推進の技術によって飛躍的な進歩が期待できるという専門的な話の中にも体験談など楽しい話題が折り込まれ、最後のフロンティア-宇宙-への挑戦の呼びかけに、生徒達も大いに刺激を受けたようだ。
(笹岡 眞人) 

<生徒の感想>
 「宇宙は最後のフロンティア」と先生がおっしゃいましたが、日常生活においても未開拓地に挑戦していくことが大切だと感じました。宇宙の研究やロケットの研究に携わっている人の話を聞くのは初めてで、とても新鮮でした。 宇宙はまだまだ謎だらけで、多くの可能性秘めていると思うので、講義でお話しされていた「宇宙ホテル」「宇宙旅行」などが実現したら素敵だと思いました。

③東京外国語大学 総合国際学研究院  岡田 昭人 准教授  「異文化コミュニケーション -自分探しの旅へのパスポート-」

 国が違えば、言語や文化が違っていて当然だが、私たちは先入観から、異文化圏の人々を型にはめて考えがちである。これを「ステレオタイプ化」というが、 それは大きな危険性を伴う。異文化圏の人々と接する時は言葉や表情や距離感、ジェスチャーやアイコンタクト等を上手に利用してコミュニケーションを取りな がら、お互いに理解をしていくべきである。 それぞれの文化的背景が相互によい影響を与え合うことこそが、異文化コミュニケーションを考える上で最も重要なことだ。(麻岡 絵莉)

<生徒の感想>
 私は今まで「ネイティブの人は日本人が話す英語をどう思っているのだろう」と考えることがあった。しかし先生は「大事なのはコミュニケーションの取り 方。相手の国の文化を学び、日本との違いを知り、ジェスチャーやアイコンタクトに気をつけるべき。それは文法よりも大切なこと。文法を間違えている人はた くさんいる。」とおっしゃった。このお話を聞けて本当によかった。

④大阪大学大学院 理学研究科  下田 正教授  「放射線とはどのようなものだろう?体にどういう影響を及ぼすのだろう?」
 
 第1部「能動的学びのススメ」では、先生が持参された曲面の鏡やネオジム磁石などを用いた実験を行い、驚きと感動に声を失う生徒が多かった。そして、実 験から生じた現象を数式やグラフにし、わかりやすく説明された。先生は日本人学生と留学生の勉強量の差や学習の質の違いを指摘され、生徒たちに暗記重視型 の受験勉強に偏らず、もっと基本的、本質的な学びを大切にするようにと言われた。
 第2部「原子核物理学者が解説する放射能のはなし」では、放射能の基本的な説明を踏まえ、実際に計器を用いて放射線量を測定した。また、放射線の特徴や 生命への影響についても教えていただいた。放射線が自然界に放置された場合、放射能が完全に消えるまでには数万年以上かかるという事実は生徒たちには衝撃 だったようだ。 140分という長時間の講義にも関わらず、下田先生の熱い語り口に魅了された生徒たちは、まだまだ聞き足りない表情をしていたのが印象的だった。(山本  眞智子)

<生徒の感想>
 今まで特に気にしなかった磁石の特性や、なぜスケート選手が回転するときに腕をたたむのか、どうして自転車は動いていると倒れにくくなるのかなど楽しく 学習することができました。また、実際に実験を見せてもらうことで、数式で学ぶ時よりもずっと具体的に理解することができました。 放射線の人体への影響やDNAが傷を修復する仕組みも分かり、放射線についての基礎知識をこれからもっと身につけていきたいと思いました。
また、先生は「能動的な学びの重要性」についてもお話しくださいました。私は今まで「考えても分からないことは暗記」して、定期テストを受けていました。 しかし、下田先生の「感動こそ学びの一歩、知ろうとする気持ちが大切」という言葉を聞き、ただ良い点を取ることを目標にして勉強するのではなく、これから は「なぜそうなるのか」と素直に問いかける気持ちを大切にして、勉強に臨みたいと思うようになりました。

⑤高知大学 複合領域科学部門   ウラノバ・ダナ 特任助教  「微生物学入門 -自然界と人間生活での微生物の役割」

 カビや細菌というと、食中毒などの病気を引き起こす悪いイメージを与えるものが多いのですが、パンや納豆、酒などの発酵食品や、抗生物質や抗がん剤などの医薬品も微生物のはたらきによりつくられています。
 医薬品開発の世界では、遺伝子組換えにより新薬の開発を進めているチームもあれば、ダナ先生のように海洋微生物に着目し、未発見の微生物から新しい物質 を発見する研究も進められているそうです。最後に生徒からの質問にもあったように、将来は地球外から微生物が見つかれば、私たちに有用な化学物質が発見さ れるかもしれません。(乃一 輝久)

<生徒の感想>
 英語での講義の内容はわかりやすく、先生の日本語の説明がなくてもなんとか理解できた。最近習った英語もたくさん出てきて、実際に英語を使えている実感 があってうれしかった。ウラノバ先生の研究では、土佐湾の海底から土を採取してまだ発見されていない微生物を探したりしているそうだ。紙の上だけなく直接 微生物と向き合っているなんてかっこいい。

⑥高知県立大学 文化学部  ヨース・ジョエル准教授    「世界に発信する日本文化」

 「世界に向けて発信すべき日本文化とは何か。武士道精神こそは、日本が世界に誇るべき固有の文化だという声を耳にする。実は、日本古来の価値観の結集と される武士道精神という概念自体があやふやなもので、近代日本の創作・発明であると多くの研究者は評価する。魅力的な文化は自然と外国人に受け入れられ、 広まってゆく。 例えば、日本の「オタク文化」は外国人の目には、武士道などよりもはるかに魅力的なのだ。だから、AKB48やゲーム、アニメ、マンガなどはまぎれもなく 新しい日本文化なのである。」このようなお話をされた講師のヨース・ジョエル先生は、5年前にベルギーから来日された。 高校生の時に黒澤明監督の映画『影武者』や『乱』を見たのがきっかけで、自分の知らない世界をそこに発見し、日本に興味をもたれたという。  (滝石 裕 二)

<生徒の感想>
 日本で考えられている日本文化と外国での考えとでは差異がある。日本人にとっての武士道よりも、自然と伝わったアニメやマンガ文化のほうが海外では評判 が良いようだ。自国の文化について語る際、その国しか見ていない人が分析すると偏った見方になることも少なくない。古い日本文化と新しい日本文化を一緒に して外国の人に伝えるというのも一つの方法だなと感じた。

⑦高知工科大学 マネジメント学部  桂 信太郎准教授    「地域活性化のためのビジネス方法論」

 「社会での実課題をいかに解決するか」がテーマでした。自分たちにある資源にどんな工夫をしたら、価値が生み出されるのか、その具体例として2つの例を 紹介していただきました。一つは、中土佐町でのスラリーアイス生成技術の開発プロセスと地域活性化への適用可能性の研究、もう一つは升形商店街の活性化に 向けたスマートフォンアプリの適用です。 高知の抱える人口減少に伴う地域の疲弊という課題を打ち破る研究の一旦をみせていただき、元気になりました。(藤澤 佑介)

<生徒の感想>
 地域の活性化は簡単ではなく、様々な工夫が必要だと知った。重要なのは、僕たち若者が社会への問題意識を持つことだと思う。高齢化が進む今の社会の中では、若者がもっと地域活性への意欲を持たないとうまくいかないのではと感じた。

⑧青山学院大学 文学部比較芸術学科   佐久間 康夫教授    「ミュージカルを五感で楽しもう!」

 演劇を形成する基本的4要素は、「演じる者(=演技者)」、「見る者(=観客)」、「演じられるもの(=作品)」、「演技者と観客を結ぶ空間(=劇 場)」であるという。そして、これら演劇の構成要素一つひとつに理解を深め、関係性を捉えることが「舞台芸術を学ぶ」ことであり、学びに基づく実践の成果 として、観客の心の内に感動が生まれる。 『The Lion King』、『Cats』、『Les Misérables』などのミュージカル映像を交えながら、創造にかける舞台人の情熱を、肌で、視覚で、聴覚でひしひしと感じる講義であった。「芸術に 正しい答えはない、あるのは正しい『問い』だけである」。芸術を通した問いに答えようとするとき、激しく心に湧き上がる感情を、人は感動と呼ぶのかもしれ ない。(塩見 安代)

<生徒の感想>
 私がこの講義で一番心に残っていることは佐久間先生がおっしゃった「感動は教えられない」という言葉です。自分が感動したとしても、相手が感動するとは 限らない。感動を伝えることはできるけど、相手も感動してくれるかは分からないというお話でした。とても心に響き、納得させられました。

⑨慶応義塾大学 総合政策学部  森 さち子准教授    「対人コミュニケーションと心理学」

 生徒達がわかりやすい具体例をあげながら「豊かなコミュニケーション」とはどのようなものかを示してくださった。コミュニケーションにはどうしても「思いやり」が必要で、それは相手の心の奥の奥に触れていく繊細な関わり合いであることを意識しなければならない。 その中で相手の言葉を「待つ」ことや、相手をわかったつもりで話を聞かないことが大切だということが印象に残った。コミュニケーションとは言葉を超えた交流も意味すると実感した。
(加藤 有果)

<生徒の感想>
 私は友達に相談されたとき、「どうしても何か言葉をかけないと」と思っていました。でもこの講義を聞いて、一番大切なのは相手の気持ちをきちんと理解す ることだと気づけてよかったです。言葉をかけるときは「誰のための言葉なのか」を考え、よい関係が築けたらいいなと思います。

⑩中央大学 理工学部      白井 宏教授       「ケータイの電波はどのように伝わるの?」

 電波とは何か?電波とは、「300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波」と法律で定められている。通信のためだけに使われていると思いがちの電波だが、火 花や落雷など自然に発生する電波もあれば、電子レンジで使用するような電波もあることを学びました。また、電波が実際にどのように伝わっていくのかをシ ミュレーション映像を見ながら解説していただきました。 先生の講義は「電波についての内容」だけでなく、大学受験についても「常に興味と疑問をもち、熱意を持って努力するよう」アドバイスをいただきました。  (水口 由里子)

<生徒の感想>
 マックスウェルが電波を発見してから実用化するまでに、僅かな年数しかかかっていないことがわかり驚いた。何事にも「興味」と「疑問」を持つことが大切だとわかった。また、何度失敗しても絶対にあきらめない姿勢を見習いたいと思った。

⑪法政大学 デザイン工学部  西岡 靖之教授  「ものづくりと情報とマネジメントの関係‐デザインする力とは何か?‐」

 ①価値 ②システム ③問題解決 ④情報 ⑤マネジメントって何だ?を順に講義をしていただきました。「もの」と「こと」を取り上げて、価値あるもの、 価値あることを生徒に考えさせて、用紙に記入し「もの」と「こと」にそれぞれ値段をつけて、買ってもらえるように、広告を作成しました。 ものづくりから情報を伝え値段をつけていく過程は、いざ値段をつけるとなると難しく、「もの」と「こと」に値段をつけていくプロセスを、深く考えさせられ る講義内容でした。
(西村 保久)

<生徒の感想>
 価値のあるものを考え、値段をつけることがとても難しかった。キャッチコピーや説明をつけるととても売れやすくなるという。「もの」と「こと」はそれぞ れ独立していない。それらの関係は「しくみ」として考えるのだそうだ。「価値のあるものは自分を解決してくれる」という発見は素晴らしいと思った。

⑫明治大学 商学部  小林 尚朗教授  「グローバル化時代の日本の貿易について‐岐路に立つ日本経済とTPP狂想曲‐」

 ①日本での暮らしと貿易、②日本企業による海外事業展開、③日本の通商政策とTPPという3つの観点から講義をしていただいた。「日本が31年ぶりに貿易赤字になったことが騒がれたが、輸入が多いことはそれほど悪いことなのか」という問いに対し、 日本の食料自給率やコンビニエンスストアの弁当の具材はどこで生産されたものかなど、資料を具体的に示していただくことで、日本の生活は外国からの輸入によって成り立っていることを改めて認識させられた。 講義後半では、アジアが世界の市場で注目されているということや、日本がTPP加入国となった場合の意義、留意点についてもお話をいただいた。国際的な枠組みの中で適切な判断が迫られる日本経済の現状を、生徒たちも強く感じたようである。 (川村 右京)

<生徒の感想>
 日本は外国からの輸入品にたくさん頼っていることが分かりました。コンビニ弁当1つをとっても70%が輸入品で、食料自給率も4割ほどというのには驚き ました。 また、全く輸入に頼らずに生産しようとすると、今度は費用がかかり過ぎてしまうことを知り、輸入の大切さについても学ぶことができました。TPPに加入す る国が増えているけれど、TPP加入にはメリット・デメリットが存在するので、とても難しい問題だと思いました。

⑬早稲田大学 人間科学部  辻内 琢也准教授  「震災・原発事故による心理社会的ストレス‐人間科学の立場から考える‐」

 今回の講義では、先生による東日本大震災での震災・原発避難者と直接的な会話や調査を通しての取り組みを紹介いただいた。何をどのように調査し、その結 果を分析し、それをどう現実社会に活かすのか、研究を通じて社会貢献することの素晴らしさが実感できる貴重な講義であった。 阪神淡路大震災では医師として現地入りした様子、東日本大震災ではガイガーカウンターを持って現地に入った様子を交え、生徒に問題提起しながら講義は進 む。フィールドワークを中心とする先生の苦悩にも触れ、常に前向きで謙虚な姿勢に脱帽するばかりであった。(安岡 美架)

<生徒の感想>
 今日の講義で震災・原発事故後の避難所の現状を知り、驚くことばかりでした。私ははたして震災のことがわかっているのか?もっと私にできることはないの か?―震災後の調査やフィールドワークを行った辻内先生から聞く話は本当に胸の痛むものでした。小さなことでも私にできることをしていきたいと思いまし た。

⑭立命館大学 生命科学部  伊藤 將弘教授    「ゲノム情報から生命システムと環境応答」

 「『生きている』、生命を持っているというのはどのようなことなのか?」当たり前であるが、明確な言葉でこの質問に答えることができず、驚きとともに講義は始まりました。 最近よく耳にする言葉である「ゲノム」や「遺伝子」といった言葉を「ドラマの脚本」や「役者」、「大道具」といった身近で分かりやすい例と笑いを交えた軽快な口調で説明してくださいました。 生命の神秘の一端を、生物を履修していない生徒にも伝えてくださった貴重な時間でした。
(中村 宏行)

<生徒の感想>
 今回の講演では教科書を読んでも漠然としていてよくわからなかった遺伝子やゲノムの辺りをとても分かりやすく解説してくださいました。私は応用生命の分 野の研究をしたいと思っているので、こういう話にもともと興味があったのですが、今日のお話を聞いて俄然やる気になりました。

⑮関西学院大学 文学部  横内 一雄教授    「シャーロック・ホームズ物語の政治学」

 イギリス文学の3つの入り口のひとつである「シャーロック・ホームズ」の、『まだらの紐』を用いて、作品の裏に潜んでいる権力構造を探り、その政治的分析をおこなった。 内なる他者(ロマ)と外なる他者(インド)への恐怖・排除・差別など、当時のイギリスの情勢や時代背景と照らし合わせながらの分析により、より多面的な文学作品の読解にふれることができた講義であった。 (明神 千加)

<生徒の感想>
 単なる文学としての読解ではなく、その時代の政治的背景を読み取りながら読解に取り組む過程は面白く、史学以外の見解も求められる作業であると思った。 作者は決して政治的思想を主題として作品を描いているわけではないが、彼が生きた時代は、執筆者の目と手を通して、自ずと作品に反映するのだろうと思っ た。 異なる人格どうしの出会いと関係性、権力との結び付きの中で政治学が生まれるということ、また、政治学が活きる領域の幅広さに興味を持った。